東京女子医科大学では、同窓会組織「至誠会」をめぐり不正な経理処理があったとして警視庁の捜索を受けたほか、会への寄付額が人事評価や推薦入試の過程で考慮されていたことなどが明らかになっていて、大学が設置した第三者委員会は2日、これらの問題に関する調査報告書を公表しました。
それによりますと、不正な経理処理については、至誠会から大学に出向した職員に給与が「過大」あるいは「二重」に支払われた疑いが濃厚だとしたほか、理事長の知人が代表を務める会社と大学法人の間で結んだコンサルティング契約で、会社への支払いが理事長側に還流した可能性が高いなどと指摘しました。
また、大学の推薦入試の過程で「至誠会」への寄付額を申請書類に記載させたことは、「受験生の親族に心理的・経済的な負担を負わせるもので妥当なものとは言いがたい」と指摘したほか、▽2019年の入試では本来なら推薦を受けられた受験生1人が、寄付をしていなかったことから選考で加点されず、推薦を受けられなかった可能性が高いとしています。
また、▽卒業生の教員が採用や昇任を希望する際にも、寄付額を考慮していたことは公正だったとは評価できないとしました。
そのうえで岩本理事長について、異論を述べた人物に報復が疑われる人事を行うなど、「岩本一強」体制が問題の背景にあり、理事会も機能不全に陥っていたとして、抜本的な改革が必要だと結論づけました。
元最高検察庁次長検事で、第三者委員会の委員長を務めた山上秀明弁護士は会見で、「岩本氏へのヒアリングなどからきちんと自己の責任を受け止めていないと感じた。法人には、提言の趣旨を踏まえて今後の対応を検討してほしい」と話していました。