「被爆体験者」は爆心地から半径12キロ以内のにいながら、国が認定する地域ではなかったことから、「被爆者」と認定されていない人たちで、医療費の助成などで大きな差が出ています。
長崎原爆の日には例年、「被爆者」の団体の代表者が総理大臣に要望を伝える機会が設けられていますが、ことしは初めて「被爆体験者」の団体の代表者も参加することになり、式典後に市内のホテルで面会しました。
この中で、被爆者団体と被爆体験者の団体の代表者はともに「被爆体験者」を「被爆者」として認定することや、日本が核兵器禁止条約に署名・批准し、多くの国々に条約への参加を呼びかけることなどを求める要望書を手渡しました。
続いて、被爆体験者を代表して「第二次全国被爆体験者協議会」の岩永千代子会長が、原爆投下後に灰を浴びている被爆体験者の絵を紹介しながら、「私たちは被爆者ではないのでしょうか。被爆体験者も内部被ばくによる疾患にさいなまれています。私たちを被爆者と認めないのは、法の下の平等に反します」と訴えました。
これに対し岸田総理大臣は、「つらい経験を話してもらい心から感謝する。被爆から80年がたとうとしていて、被爆体験者は高齢化している」と述べました。
一方で、核兵器禁止条約への署名・批准については「日本政府としては、核兵器禁止条約に参加していない核兵器国を動かすことを重視している。核兵器国を核兵器のない世界にどれだけ近づけることができるか、それが日本の責任だと思っている」と述べるにとどまりました。