指摘を受けたのは、最長で35年間金利が固定される住宅ローン「フラット35」で知られる独立行政法人の住宅金融支援機構です。
機構は、民間の金融機関が不測の事態で住宅ローンを回収できなくなった場合に債権の9割から全額を保険金として支払う制度を運営していて、リーマンショックの影響などによる住宅ローンの貸し渋り対策として2009年に国から761億円の出資を受け、その運用益を保険料率引き下げの費用に充ててきました。
しかし、会計検査院が調べたところ、住宅ローン債権の残高が年々減って保険料率引き下げの費用も減っているのに、余った資金の国庫への返納などが行われず、少なく見積もっても昨年度末時点で110億円余り余分に保有していることがわかったということです。
このため会計検査院は、住宅金融支援機構に対し、国からの出資金の保有額を見直し、必要額を超える分は国庫に返納するなどの対応をとるよう求めました。
住宅金融支援機構は「これまでは必要な運用益を確保できていないと判断していたため出資金を減らさずにきたが、数年以内に運用益を確保できる見込みなので、出資金の規模が適正になるようにしていきたい」としています。