去年4月、沖縄県の宮古島沖で陸上自衛隊のUH60ヘリコプターが墜落した事故では、当時の第8師団長など乗っていた10人全員が死亡しました。
この事故で、陸上自衛隊の調査委員会がまとめた報告書の内容が判明しました。
それによりますと、ヘリコプターは高度およそ300メートルで飛行していた際に、右側のエンジンで出力が徐々に低下する「ロールバック」と呼ばれる現象が起きて出力が失われたのに続いて、左側のエンジンも出力が低下し、墜落したとしています。
墜落までの時間は、右側エンジンの出力が低下し始めてからおよそ90秒、左側の出力が低下し始めてからはおよそ40秒と短く、着水の際の衝撃を緩和する緊急操作を行うのは極めて困難だったとしています。
エンジンの出力が徐々に低下する「ロールバック」は、供給される燃料が不足した場合に発生することがあり、エンジンを制御する装置に空気を送る配管に漏れやつまりなどの異常が起きたことなどが要因と推定されるとしています。
「ロールバック」が自衛隊機で確認されたのは初めてで、機体の取り扱い書にも記載されていなかった非常にまれな現象だとしています。
一方、左側のエンジンについては、制御や出力に影響を与える部分の異常や、搭乗員による出力を調整するレバーの操作が要因となった可能性があるとしていますが、いずれも裏付けるデータがなく、要因の特定には至らなかったと結論づけています。
再発防止策については、エンジンに関連する部分の詳細な点検を行うとともに、「ロールバック」が起きた場合の緊急操作手順を確立して、周知を徹底するなどとしています。
報告書の内容は近く公表される見通しです。