去年6月の大雨の際、高知県で土佐くろしお鉄道の列車が崩れた土砂に乗り上げて脱線しました。
乗客はおらず、運転士などにもけがはありませんでした。
この事故について国の運輸安全委員会は、25日に調査報告書を公表しました。
それによりますと、当時、運転中止の規制雨量に達していたにもかかわらず運転士に中止を通告せず、出発した列車が土砂に乗り上げて脱線したということです。
社内では、規制値に達してもすぐに運転の規制を行わず、様子を見て判断することが常態化していたということで、雨が降った際の安全確保に対する意識が低くなっていたと指摘しています。
また、運転の規制は、運転状況を監視する指令員の判断で行うのではなく、社内規定に反して線路などを管理する施設車両区長の指示のあとに行うことになっていたということです。
その後、会社は事故当時の運用にあわせて規定を改めていて、これについて報告書は当時と同じような手順を明文化したにすぎず、再発防止策とは言えないと指摘しています。
そして、会社に対し、規制値に達したときは指令員が速やかに運転を規制できる仕組みを構築するよう勧告しています。