JAXAなどが開発した無人探査機「SLIM」は、ことし1月、日本として初めて、世界でも旧ソビエト、アメリカ、中国、インドに続く5か国目となる月面着陸に成功し、従来は数キロメートルだった目標地点との誤差を、55メートルにとどめる「ピンポイント着陸」を実現しました。
「SLIM」は、およそ2週間ごとに訪れる“月の夜”のマイナス170度の低温に耐える設計にはなっていなかったため、当初の計画では、着陸後数日間で月面のデータを取得し運用を終了する計画でしたが、実際には“月の夜”を3度越え、着陸のおよそ3か月後の4月末まで、通信することができていました。
5月以降もプロジェクトチームが「SLIM」との通信を試みていましたが、確立できなかったことから、JAXAは機能を停止する信号を送り、運用を終了したと26日発表しました。
「SLIM」はこれまでに、月面を撮影した画像データを送信しているほか、搭載された特殊なカメラで10個の岩石を観測し、データを解析した立命館大学などは、月の起源を探るうえで重要な手がかりとなる「カンラン石」の存在が確認されたと発表しています。
JAXAは引き続き、探査機から得られたデータを解析し、改めて探査の成果を報告したいとしています。